ニュースの概要
格安SIMのmineoが、10月からeSIMの再発行手数料を無料にしたと、ASCII.jpが伝えている。これまでeSIMは、スマホの機種変更や故障、端末の初期化のたびに、プロファイル(=回線情報を入れたデータ)を再発行する必要があり、事業者によっては数百円から数千円の手数料がかかっていた。mineoの今回の対応は、その負担をなくすものだ。記事では、ほかの格安SIMでの再発行の扱いにも触れ、事業者ごとに料金や手続きの差が大きいことを紹介している。eSIMの利用者が増えるなか、使い始める時の安さだけでなく、使い続ける間の細かな費用や手間をどう減らすかが、選ばれる条件になりつつある。
引用元: mineoが10月からeSIM再発行を無料化! 他の格安SIMはどうなってる?(ASCII.jp)
分析・見解
再発行手数料が、乗り換えをためらう理由だった
eSIMは、SIMカードの差し替えが要らない便利な仕組みである。ただし便利さの裏に、見落とされやすい弱点がある。端末を替えるたびに、回線情報を新しい端末へ入れ直す手続きが必要になることだ。物理SIMなら、カードを抜いて差せば終わる。eSIMは事業者の画面で再発行を申し込み、本人確認を済ませ、読み込み作業をして初めて使える。
ここに手数料がかかると、利用者は「機種変更のたびに数百円から数千円を取られる」と感じる。月額が数百円違う競争をしている格安SIMで、この数千円は小さくない。mineoの無料化は、この心理的な壁を下げる動きだと言える。
無料化は値下げ競争の次の戦場を示している
格安SIMの月額料金は、すでに各社とも底に近い水準まで下がった。たとえば20GBで2,000円前後という価格帯では、差は数十円から百円程度しか出ない。そこで次に差がつくのは、契約事務手数料、解約時の費用、そして今回のような再発行手数料といった、付随する費用になる。
これは携帯業界だけの話ではない。航空券で「本体は安いが手荷物や座席指定に追加料金」という形が広がり、その後に「込み込み価格」を打ち出す会社が支持を集めた例がある。通信も同じ道をたどる可能性が高い。見えにくい手数料を減らすことが、そのまま広告になる時代に入ったのである。
本当の差は、料金より手続きの軽さに出る
ただし、手数料が無料になっても、手続きが面倒なら体験は良くならない。大手の回線では、アプリから数分でeSIMを移せる仕組みが整ってきた。一方、格安SIMには、受付時間に制限があったり、本人確認を何度も求められたりする事業者が残る。
筆者が注目するのは、料金表に載らない所要時間である。たとえば機種変更の当日に、再発行の受付が翌営業日だったとする。その間、新しいスマホで通話もデータ通信もできない。これは数百円の手数料より、はるかに大きな不便になる。無料化は入口にすぎず、本当の勝負は即時に切り替えられるかどうかに移っていく。
今後はeSIM専用端末の増加が追い風になる
最近は、物理SIMの差し込み口を持たず、eSIMだけに対応する端末が増えている。そうなると、再発行は一部の人の特殊な手続きではなく、全員が通る道になる。事業者にとって再発行の窓口は、これまで想定していたより何倍も使われる場所になるだろう。
そのため、手数料を取って件数を抑える方針は、長続きしにくい。むしろ無料にして自動化を進め、問い合わせ対応の人件費を減らすほうが合理的である。mineoの判断は、この流れを先取りしたものと読める。他社も追随する可能性は高く、数年のうちに「再発行無料」が標準になると見ている。
ビジネスへの影響
法人のスマホ運用では端末入れ替えの費用が見えやすくなる
従業員が数十人から数百人いる会社では、端末の故障や紛失、機種変更が毎月のように起きる。eSIMの再発行に1回あたり数百円から3,000円程度かかるなら、年間で数万円の差になることもある。回線を選ぶときは、月額料金だけでなく、再発行手数料、受付時間、手続きの方法まで含めて比べたい。見積もりの段階で、年間の端末入れ替え件数を掛け合わせて試算すると、判断を誤りにくい。
乗り換えを検討する際に確認したい三つの点
一つ目は、再発行が何回まで無料か、条件や期限がないかである。無料と言いつつ、年に数回までという場合がある。二つ目は、再発行の受付がオンラインで二十四時間できるかどうかだ。出張先で端末が壊れたときに、翌日まで待たされるのは大きな損失になる。三つ目は、故障時の連絡手段である。通信が使えない状態でも、メールや電話で手続きを進められるかを事前に確かめておくとよい。
なお、制度や料金は変わりやすい。申し込み前に、各社の公式ページで最新の条件を確認することを勧める。まずは自社の端末の入れ替え頻度を洗い出し、数字で比べるところから始めたい。